松永副院長 カンボジア医療支援日記 22
皆様お疲れ様です。
今日はコロナ関連の話です。
昨日、日中にプノンペンの病院でコロナ感染陽性と診断され、自宅療養の指示が出ていた患者さんが、腹痛を主訴に夕方当院を受診した。
彼も、ついてきた家族も、コロナ感染の事実を隠していたため、感染対策不十分なままに外来で診察が行われた。
診察を行ったY先生から相談され、私も腹部触診を行った。患者自体、肝硬変もあって状態が悪く、白血球が4万(と異常高値)、血小板は5万と低下(肝臓がわるいため?)。
腹膜炎の診断でプノンペンの大きな病院に送る方針となった。転院に必要となるコロナ抗原検査を行ったところ陽性となり、隠していた事実が明らかになった。付き添いの家族の中にはひどく咳き込んでいる者もいた。当院も時間外でスタッフが少なく、腹部診察に気を取られていたこともあって、コロナ対策はほとんどなされていなかった。
診察にあたったY先生と看護師のMは濃厚接触者として隔離されることとなった。
翌日、その患者さんが搬送先の病院で亡くなったことを知った。
そもそも昨日プノンペンでコロナ感染が判明した段階で相当状態は悪かったはずである。それを入院させられなかったのは大病院にも余裕がないことの表れである。カンボジアの医療体制はもともと脆弱だから、これだけコロナが拡がると医療崩壊はすぐに起こる。
考えてみれば、嘘をついて当院に患者さんを連れてきた家族も、瀕死の状態を見て、何とかしてあげたいと思ったのだろう。
今後も感染対策は気を抜けない。