松永副院長のカンボジア便り 34「巨大乳腺腫瘍」
以前、巨大乳腺腫瘍の患者さんを紹介しましたが、もっと巨大な方が来院されました。
40代後半の女性、右乳腺に径30cm超の肉腫。壊死して皮膚に大きな穴が開き、中に蛆がわいてました。悪臭の中、おびたたしい数のハエを追い払う気力も無く、彼女はただ茫然と宙を見つめていました。
カルテを見ると、1年前に私が診察しており、「CTを撮って再診」という記録が残っていました。しかし経済的事情でCTは撮れず、来院が途絶えてました。
CTにこだわって、すぐに手術をしなかった私の判断ミスでした。
外来裏に移動して、ホースを使って蛆を洗い流し、消毒薬をつめて包帯を巻きました。
輸血を準備して、2日後に手術。腫瘍は筋肉にも浸潤しており、広範な胸筋合併切除を要しました。皮膚は何とか閉じることが出来ました。
蛆に蝕まれながら死んでいく地獄から脱することは出来ましたが、浸潤状況から、再発するリスクは低くないと考えます。