松永副院長のカンボジア便り 26 「直腸癌手術」
当院初めての直腸切断術(マイルズ手術)を行いました。
※ マイルズ手術・・・直腸癌に対し、肛門を含めて直腸を切除し、S状結腸に人工肛門を作る手術(図)
患者さんは、36歳、女性。1年前から下血あり、便秘もひどくなって来院され、肛門近くに直腸癌がみつかりました。
手術する上で最も大変だったのは患者さんへの説明でした。癌が大きくて便の通り道がふさがり、出血も続いていたため、手術しないと食事・排便もできない状況でした。しかし、肛門を取られて人工肛門になるという内容は患者さんにとって衝撃的だったようで、何回説明しても承諾が得られませんでした。5時間離れた自宅まで帰って親戚も集まり家族会議を行ったようです。なんとか決心がついて帰ってきてくれました。手術は、成長したカンボジア医師達の的確なサポートに感激しながら予定通り終了、術後も順調に経過され、8日目に退院されました。
術前に一度も笑わなかった患者さんが笑顔に(向かって右側)
手術で肛門を取った上に、このところ痔瘻の手術も続いたため、私はAnal Docter(肛門先生)と呼ばれるようになりました。